何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
*
ナースステーションに悠への花を託し、そのあとの時間を渉くんと実くんと過ごす。私はそんな日々をまたしばらくの間繰り返した。
ーーもう2週間近く悠の顔を見ていない。「もう来ないでくれ」とはっきりと言われたあの日から。
悠の顔が見たくてたまらなくなっていた。できれば昔のように、私との時間を大切にしてくれる悠に会いたいけれど、この際そうじゃなくてもいいと思うようにすらなりつつあった。
ーーたとえ邪険にされたとしたも、あなたに一目会いたくてたまらない。
だけど、会いにいく勇気はどうしても出なかった。
そんな風に葛藤しているある日のこと。私はいつものように、病院に着くなりナースステーションに向かった。
ーーすると。
遠くから、子供の泣き声が聞こえてきた。泣き声というと、表現が少しソフトになってしまう気がする。
それは喚き声……いや、絶叫に近かった。病院のどこかで、小さな子供が深い絶望に苛まされている。
そしてその声が聞こえてきたのが、悠の病室の方だった気がしてきたので、私は不安を感じて恐る怒る久しぶりにそこへ向かってみた。
しかし、結果的にその絶叫は悠の病室から発生しているものではなかった。悠がいるはずの305号室は、無機質な扉で静かに閉ざされている。
ーーこの中に、今も悠がいるんだな。
ナースステーションに悠への花を託し、そのあとの時間を渉くんと実くんと過ごす。私はそんな日々をまたしばらくの間繰り返した。
ーーもう2週間近く悠の顔を見ていない。「もう来ないでくれ」とはっきりと言われたあの日から。
悠の顔が見たくてたまらなくなっていた。できれば昔のように、私との時間を大切にしてくれる悠に会いたいけれど、この際そうじゃなくてもいいと思うようにすらなりつつあった。
ーーたとえ邪険にされたとしたも、あなたに一目会いたくてたまらない。
だけど、会いにいく勇気はどうしても出なかった。
そんな風に葛藤しているある日のこと。私はいつものように、病院に着くなりナースステーションに向かった。
ーーすると。
遠くから、子供の泣き声が聞こえてきた。泣き声というと、表現が少しソフトになってしまう気がする。
それは喚き声……いや、絶叫に近かった。病院のどこかで、小さな子供が深い絶望に苛まされている。
そしてその声が聞こえてきたのが、悠の病室の方だった気がしてきたので、私は不安を感じて恐る怒る久しぶりにそこへ向かってみた。
しかし、結果的にその絶叫は悠の病室から発生しているものではなかった。悠がいるはずの305号室は、無機質な扉で静かに閉ざされている。
ーーこの中に、今も悠がいるんだな。