何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
「中井くん、神……?」

「えっ?」

「いや、2ヶ月も悩んでて、どうしようと思ってたのに、一気に解決しそうで。もう、神としか言えないよっ……」


私が神妙にそう言うと、中井くんは吹き出した。 笑われるとは思ってなくて、私は戸惑う。


「あはは! 何それー! 俺は普通の一男子高校生ですよ」

「わ、私にとっては神なんだもん……」

「いやー、折原さん面白いわ。意外な発見。なんか得した気分だ」

「はあ……」


何が得なのか全然わからなくて、私は曖昧に返事をする。


「まあ、とにかくそんなわけで。とりあえずうちで飼えないか聞いてみるからさ。待っててよ」

「うん……!」


心底嬉しくなり、私は頷く。そして相変わらず中井くんの目の前でお腹を出してひっくり返っているトラ子の腹毛をわしゃわしゃと撫でる。


「よかったね! トラ子!」


トラ子と喜びを共有しようと思ったのに触りどころ後悪かったらしく、ガブリと噛まれてしまった。そんなに痛くはなかった。

ダメだこりゃ。私は猫の扱いにまだそこまで慣れていない。好きなのに。


「あははっ! めっちゃ噛まれてるしー! うけるー」


中井くんには大爆笑され、私は苦笑いすることしか出来なかった。
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