何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
トラ子は背中は虎柄だけど、お腹は白い。真っ白なお腹の毛がぽわぽわしていて、なんとも愛らしくて私は思わず呟いた。

すると、中井くんはふふっと笑ってこう言った。


「折原さんって、猫っぽいよね」

「え、え!?」


自分で「かわいいなあ」と言った直後に、その対象に似ていると言われて、私はドキリとした。

なんだか自分のことをかわいいと言われている気がして。

ーーいやいや、そんなはずないよね。かわいいなんて私の対極に位置する言葉だ。


「ど、どこが?」

「んー、なんか一見ツンとしてるように見えるんだけど、話すとそうでもないところ? 懐いてくれた猫みたい」

「懐いた猫……」


ーー確かに。わたしは中井くんと会話をすることきは、一切緊張しなくなった。何も考えずに、自然体で話すことが出来る。

私、中井くんにーー懐いてるね。

なんて思ったけど、そんなことは恥ずかしすぎてもちろん言えない。


「そ、そうかな?」

「うん。クラスのみんなとも、もっと話せばいいのに。すぐ仲良くなれんのにさー。もったいな」


中井くんとは教室でもそれなりに話せるようになったし、横田さんとも花壇では楽しく過ごすことができるようになってきていた。

今日も、種まきの作業を横田さんと一緒にやってから、この公園に来た。
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