何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
「……あっ! ごめん」
腕の中で固まっている私に気づいた中井くんは、慌てた様子で私を解放した。
「つい……嬉しくて。嬉し、すぎて」
「ーーうん」
はにかみながら言う中井くんに、私は頷く。
別に、嫌で硬直していたわけじゃないのに。ーー嫌どころか、嬉しかったのに。ちょっと心臓がドキドキしすぎて、動けなくなっただけだ。
なんてこと、恥ずかしくて言えないけど。
照れくさくて視線を落としたら、再び時計の数値が見えた。20:02という表示に、私は慌てる。
「ご、ごめん中井くん! 私帰らなきゃ……」
「あ、そうだね。ーーこっちこそごめんね。帰り際に引き止めちゃって」
「ーーううん」
謝るなんてとんでもない。こんな嬉しいことを言われるなんて。時間なんて忘れて、ずっと一緒にいたいくらいだ。
もちろん、そんなわけにはいかないけれど。中井くんのご家族も、そろそろ帰ってくるようだし。
「ーーそれじゃあ、またね。中井くん」
私は照れながらも微笑む。すると中井くんも、頬を少し赤くしながらも、笑って私を見つめた。
「うん。ーー折原さん」
「……はい」
「これから、よろしく……です」
「よ、よろしくお願いします……!」
真っ直ぐに私を見て行った中井くんの言葉に、私は込み上げてくる嬉しさを噛み締めながら、深く頷いたのだった。
腕の中で固まっている私に気づいた中井くんは、慌てた様子で私を解放した。
「つい……嬉しくて。嬉し、すぎて」
「ーーうん」
はにかみながら言う中井くんに、私は頷く。
別に、嫌で硬直していたわけじゃないのに。ーー嫌どころか、嬉しかったのに。ちょっと心臓がドキドキしすぎて、動けなくなっただけだ。
なんてこと、恥ずかしくて言えないけど。
照れくさくて視線を落としたら、再び時計の数値が見えた。20:02という表示に、私は慌てる。
「ご、ごめん中井くん! 私帰らなきゃ……」
「あ、そうだね。ーーこっちこそごめんね。帰り際に引き止めちゃって」
「ーーううん」
謝るなんてとんでもない。こんな嬉しいことを言われるなんて。時間なんて忘れて、ずっと一緒にいたいくらいだ。
もちろん、そんなわけにはいかないけれど。中井くんのご家族も、そろそろ帰ってくるようだし。
「ーーそれじゃあ、またね。中井くん」
私は照れながらも微笑む。すると中井くんも、頬を少し赤くしながらも、笑って私を見つめた。
「うん。ーー折原さん」
「……はい」
「これから、よろしく……です」
「よ、よろしくお願いします……!」
真っ直ぐに私を見て行った中井くんの言葉に、私は込み上げてくる嬉しさを噛み締めながら、深く頷いたのだった。