何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
あ、でも詩織と園芸部の作業をする日は、先に帰ってもらっていたけど。

私たちが付き合っていることは、たぶん学校のみんなはまだ誰も知らない。

私も中井くんも、交際が始まったからと言って大体的に発表するタイプではなかった。

まあ、内緒にしている訳では無いから、聞かれたら答えるとは思うけど。

もともと中井くんは、交友関係が広いから、私と一緒にいるところを他の人が見ても、最近あの2人仲良いね、くらいにしか思われていないみたいだった。


「折原さん、夏休みのご予定は?」

「うーん……」


アイスを食べながら中井くんに尋ねられたけど、私は口ごもる。

悲しいくらい大した予定なんてなかった。部活もやっていないし、お母さんも忙しいから家族でどこかへ行くという話もない。

私は苦笑を浮かべてこう答えた。


「明日、詩織たちと図書館で宿題する約束してるけど……。まだ、それくらい」


すると中井くんは驚いたようで、目を見開いた。


「えー! もう宿題やんの!? 早くない?」

「そう? だって宿題、中学の時に比べてすごく多くて。気になっちゃうから、早めにやって終わらせたいなあ」

「げー、マジか。俺後回しにしちゃうなー。ってか、絶対そうなっちゃうわ。あとで大変って分かっててもやらないんだよなあ。昔からずっと最終日に泣いてるタイプ」
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