何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
先約なので、加奈ちゃんの誘いは断らなければいけない。

しかし、2人にはまだ中井くんと付き合っていることを言っていなかったので、なんて切り出そうか戸惑ってしまった。


「桜っちは? ね、一緒に行こー」


何も言わない私の顔を加奈ちゃんが覗きこむ。

ちゃんと言った方がいいよね。別に隠す必要なんてないんだし。


「ーーごめん。私別の人と行く約束があって」

「あ、そうなの? 学校の人?」

「うん……中井くんなんだ」


私が小声でそう言うと、今までのほほんとしていた2人の表情が固まった。

ーーそして、次の瞬間。


「えー! マジで!?」

「お祭りに2人で!? 付き合ってんのー!?」


驚愕の面持ちになった2人が絶叫した。

図書館内だというのに、この声の大きさはヤバいんじゃ、と私が思っていると。


「ちょっと、さっきから声が大きいですよ。静かにしてください」


案の定、司書さんがつかつかと私たちが腰掛けているテーブルまでやってきて、睨みながら注意をしてきた。


「す、すいません」
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