何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
謝る詩織に、頭を下げる私と加奈ちゃん。そういえば、さっきからわりと大きい声で話していたなあ。

今まではギリギリ許容範囲だったけれど、さっきの絶叫は、司書さんもさすがに見逃せなかったってわけか。

そして、司書さんが私たちの近くから去ると。


「ーーちょ、ちょっと。それで!? 中井くんと、付き合ってるの!?」


声を抑えながらも、驚きを隠せない様子で私に尋ねてくる詩織。

私は照れながらもこくりと頷いてから、こう言った。


「うん。ーーそれで、明日は一緒に行くことになっててさ」

「マジかー! いつからいつから!? いつから付き合ってんの!?」


そして、矢継ぎ早に2人は仲良くなったきっかけとか、告白したのはどっちからとか……。

いろいろ細かいことを聞いてきたので、私は戸惑いながらも答えられる範囲で答えたのだった。


そして私が一通り答え終わると、2人は満足げに、少しうっとりした顔をしていた。


「まあ、前にも言ったけど、2人仲良かったもんねー。それで猫がきっかけかー。ドラマだねえ」

「そ、そうかな?」

「うんうん、これそ青春って感じだわー」


何がドラマで何が青春なのか、私にはよくわからなかったけど、2人が悪い印象を持たなかったようなので、まあよかった。
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