何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
「そうなんだよー、だからお似合いだよ、中井くんと桜っち」

「……くそう。私の方が先に桜と仲良くなったのに。中井のやつめ……」


嬉しいことを言ってくれる加奈ちゃんに、わざとらしく唇を噛み締めて、悔しそうな素振りを見せる詩織。


「あはは、何それ詩織」


そんな詩織の様子が面白くて、私はちょっと笑ってまった。

すると詩織は大袈裟に切なそうな顔をし、瞳をうるっとさせて私に詰め寄りながら、こう言った。


「でも、今度私達とも遊んでねー!? 中井くんに私達の友情は壊させないんだからっ!」

「もちろん! 友情は永遠だから!」


詩織がそう言ってくれるのが嬉しかった。

女の子同士の友情というのは難しいもので、誰かに彼氏ができると、壁ができてしまって、誘いから省いてしまったり、そういったことがあるようだけど。

2人はそんな感じではなかったので、私は心底安堵した。

もちろん、2人はそういうことを考えるようなタイプじゃないことは分かっていたけど。やっぱり打ち明ける時、少しだけ不安だった。


「ま、それなら明日は中井くんと楽しんできなよー!」

「うんうん。花火めっちゃきれいだからさー。いいデートになるよ、絶対」

「うん。ーーありがとう、二人とも」


そう言ってくれる2人は、私と中井くんとの交際を心から応援してくれているように思えて。

私はますます明日のお祭りが、楽しみになったのだった。
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