【アナザードア】

学校

その頃、

太陽のクラスの教室では、既に朝のホームルームが始まっていた。

担任の『後藤(ごとう)』先生が出欠の確認をしている。

慌てて教室の前に駆けて来た太陽。中の様子を伺いながら教室の後ろのドアを開けソーっと自分の席へ座ろうとする。


「ハイ、鳳太陽はまた遅刻だな。」


後藤先生はそれを見逃さず、太陽を一瞥すると冷静に出欠を取り続ける。


「アチャー、ダメだったか。」

「また寝坊？アンタって本当に昔からしょうがないんだから。」


そう言って太陽の方へ降り返った彼女こそ、この物語のもう一人の主人公
『月島美鈴(つきしまみすず)』である。


「ウルセーな、美鈴。オレだって頑張ったんだぞ。いつもの近道使って全速力で来たんだからな！フルスロットルだぞ！」

「近道使う前に寝坊しない様にした方がいいんじゃないのかしらねー。まっ今更アンタに何を言っても無駄か。」


そう言うと美鈴は前を向いた。

「何だよ、美鈴のやつ。お前はオレの母親かっての。」


不満気な太陽は美鈴に聞こえない様にそう呟くしかなかった。

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表紙・目次

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