【アナザードア】

不思議な眼差し

「居眠り防止って。そりゃヒドイっすよ!先生。」


太陽と後藤先生のそのやり取りを見て、クラスメート達がドッと笑い声を上げる。

とにもかくにも、司は太陽の横の席に座る事となり、太陽は晴れて転校生の世話役となったのだった。

学校の事を色々と教えている内に、太陽と司は次第に打ち解け合っていったが、太陽には少しだけ気になる事があった。


それは司の太陽を見る眼差しである。

それは、まるで懐かしい旧友に再会したかの様な感じなのだ。

太陽は司とは初対面なのだから、この司の眼差しにはどこか違和感を感じるのであった。

太陽は恐る恐る司に尋ねた。


「なぁ司。少し気になってたんだけど、オレの顔ってお前の知り合いの誰かに似てるのかな?」

「ゴメン、そんなつもりじゃ無かったんだけど。その・・・似てるんだ。ボクの命の恩人に。」

「命の恩人?」

「うん、笑った顔や怒った顔なんてそっくりだよ。」

「へぇ~!そっかぁ。でも命の恩人に似てるって言われても何だかピンと来ないな。」

「その人がいなかったら、今のボクは存在すらしていなかったんだ。だから君の顔を見ると、ついつい懐かしい気分になっちゃって。不愉快だったかな?」

「いいっていいって。こっちこそ、余計な事聞いちまってゴメンな。オレの顔で良かったらいつでも見てくれ!」

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