アイドル物語  ~あなたはどっちを選ぶ?~



「うわっ!!」

「キャー‼️」

「お前は誰だ!ここで何してる!?」

涼太君は、相当びっくりしていて、たぶん私が継美(男のほう)だと気づいていない。私は、気づかれないうち逃げようと思い、ロッカーから出て急いでドアに向かおうとしたら、涼太君があっという間に追い付いてきて、ドアに壁ドンされた。

(これが追い詰められたシチュエーションじゃなくて涼太君に告白されるシチュエーションだったら、ものすっごく嬉しいのにな。それより、どうやって説明しよう?)

「あの~その~えっと~あはは。(苦笑い)」

「早く答えないと、警察を呼ぶぞ。」

もう、“涼太君に本当のことを言うことしかない”そう思ったとき、女神のように現れたのは、朋美さんだった。

「あら、涼太君まだいたの?」

「朋美さん!“まだいたの?”じゃねぇよ。ここに、ファンが入ってきてるぞ。」

「その子はファンの子じゃないわ。」

「じゃあ、誰なんだよ!?」

「本当に分からないの?さっきまで一緒にいた継美君じゃない!」

「「はっ?」」

私と涼太君は石像のように固まった。

「よく見てちょうだい。継美君に似てるでしょ?」

朋美さんがそういうと、涼太君が私のことを真剣に観察し始めた。

「確かに似ているが、人違いとか実は、双子だったとかじゃないのか?」

「そう思うなら、本人に聞いてみれば良いじゃない。」

「お前は、本当に継美なのか?」

涼太君は、不安そうに聞いてきた。

(私、本当のことを涼太君に言っても、良いのかな?朋美さんが最初に言っちゃったし、えーい!こうなったら、バラしちゃえ。)

「えっと、なんて言ったらいいか分かんないけどうん、そうだね~ 私が継美君こと、継美だよ。えへへ(〃⌒ー⌒〃)ゞ」

「はぁ~‼️」

それからマイラバーズに入るまでのこと、朋美さんや、社長は私が女の子だということを知っていること、全て話した。

「ってことでこのことを秘密にしてほしいだけど……」

「なるほど分かった。俺も継美がマイラバーズにいてほしいから黙っといてやる。改めてよろしくな!継美。」

「こちらこそ、改めてよろしくね!涼太君。」

私は、笑顔で涼太君と硬い握手をかわした。

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