純真~こじらせ初恋の攻略法~
私を心配してくれる藤瀬くんが、どんな気持ちでいるかなんてわからない。
けれど私と同じ感情ではないことだけははっきりとわかる。
それでもほんの少しでも私に関心を持ってくれているということが、心の底から嬉しかった。
「藤瀬さんの言う通り、大人の女性として恥ずかしくない行動をします」
「それならいいけど」
「でも出張って言ったって、日帰りなんだからそこまで警戒しなくてもいいんじゃないですか?」
含み笑いが堪えられずにそう言うと、藤瀬くんは眉間に深いしわを寄せた。
「湯川さんは悪知恵だけは恐ろしいくらいに働くから言ってんの。素直に聞いとけよな」
ふいっと顔を背ける藤瀬くんの顔が、昔の記憶と重なって。
私の胸はいっぱいになった。
「心配してくれてありがとうございます」
ニッコリ笑ってそう言えば、藤瀬くんは照れたように「……ん」と漏らしてPCに向き直った。
私も席に戻って出張資料に目を通すことにした。
暫くすると、浮かれた足取りで湯川さんが帰って来た。
「たっちばなさーん!」
私の肩に手を置いて、私に声を掛けてきた。
私は藤瀬くんの言いつけ通り、湯川さんのその手をグイっと押しのける。
「さっき電話で聞いたんだけど、俺のアシの代わりに橘さんが同行してくれるんだって?俺もう嬉しすぎる。仕事どころじゃなくってさぁ」
「いや、仕事はしてください」
「人間、浮かれると他に何も手につかなくなるって本当なんだな」
「それは知りませんけど仕事なので。宜しくお願いします」
この時は淡々とそう言って交わしたのだが、交わしきれなくなる状況というものが存在するということを、私はこの後知ることになった。
けれど私と同じ感情ではないことだけははっきりとわかる。
それでもほんの少しでも私に関心を持ってくれているということが、心の底から嬉しかった。
「藤瀬さんの言う通り、大人の女性として恥ずかしくない行動をします」
「それならいいけど」
「でも出張って言ったって、日帰りなんだからそこまで警戒しなくてもいいんじゃないですか?」
含み笑いが堪えられずにそう言うと、藤瀬くんは眉間に深いしわを寄せた。
「湯川さんは悪知恵だけは恐ろしいくらいに働くから言ってんの。素直に聞いとけよな」
ふいっと顔を背ける藤瀬くんの顔が、昔の記憶と重なって。
私の胸はいっぱいになった。
「心配してくれてありがとうございます」
ニッコリ笑ってそう言えば、藤瀬くんは照れたように「……ん」と漏らしてPCに向き直った。
私も席に戻って出張資料に目を通すことにした。
暫くすると、浮かれた足取りで湯川さんが帰って来た。
「たっちばなさーん!」
私の肩に手を置いて、私に声を掛けてきた。
私は藤瀬くんの言いつけ通り、湯川さんのその手をグイっと押しのける。
「さっき電話で聞いたんだけど、俺のアシの代わりに橘さんが同行してくれるんだって?俺もう嬉しすぎる。仕事どころじゃなくってさぁ」
「いや、仕事はしてください」
「人間、浮かれると他に何も手につかなくなるって本当なんだな」
「それは知りませんけど仕事なので。宜しくお願いします」
この時は淡々とそう言って交わしたのだが、交わしきれなくなる状況というものが存在するということを、私はこの後知ることになった。