純真~こじらせ初恋の攻略法~
「飛行機が欠航したらしいんだよね」
湯川さんからそう聞いたのは、取引先の方達との食事会を終えて、空港に向かおうとしていた時だった。
雨の中、小さな料亭の前で呆然としている私には目もくれず、湯川さんは通りがかったタクシーを止めた。
「ちょっと……。これからどうするんですか?いったいどうして欠航になったんですかっ」
止まったタクシーの後部座席が開くと、湯川さんは早々に乗り込み奥へと詰める。
「大雨で最終便のみ欠航」
私を手招きで呼びながら湯川さんが答えた。
なるべく雨に濡れないように小走りでタクシーに乗り込むと、バタンと音を立ててドアが閉まった。
私がバックからハンカチを取り出し濡れた服を拭き始めた時。
「駅前の〇〇ホテルまでお願いします」
運転手さんにそう告げられて、私は頭が真っ白になった。
「湯川さん……どういうことですか……?」
今日の全スケジュールが終わったら、最終便で帰れるはずだった。
なのにその最終便が欠航ということは、今日はもう帰れないということで。
私は湯川さんと一泊しなければならなくなったということだ。
どうして……なんでこんなことになってしまったんだろう。
「欠航って、いつ知ったんですか?」
無表情で低くそう言う私と、笑顔で私を見つめる湯川さんの温度差は、きっと驚くべきものだろう。
「会食前には聞いてたよ。だから早々にホテルを予約したんだ。きっとすぐに埋まると思ったからね」
腹が立つほど気が回る湯川さんに対して私はものすごく頭にきた。
「ホテル予約する前に、新幹線予約するのが本当だったんじゃないですか?」
簡単にホテルで一泊しようとするよりも、なんとか今日中に帰る方法を考えるのが先決だったんじゃないだろうか。
欠航が決まってすぐならば、新幹線も空席はあったはずなのに
湯川さんからそう聞いたのは、取引先の方達との食事会を終えて、空港に向かおうとしていた時だった。
雨の中、小さな料亭の前で呆然としている私には目もくれず、湯川さんは通りがかったタクシーを止めた。
「ちょっと……。これからどうするんですか?いったいどうして欠航になったんですかっ」
止まったタクシーの後部座席が開くと、湯川さんは早々に乗り込み奥へと詰める。
「大雨で最終便のみ欠航」
私を手招きで呼びながら湯川さんが答えた。
なるべく雨に濡れないように小走りでタクシーに乗り込むと、バタンと音を立ててドアが閉まった。
私がバックからハンカチを取り出し濡れた服を拭き始めた時。
「駅前の〇〇ホテルまでお願いします」
運転手さんにそう告げられて、私は頭が真っ白になった。
「湯川さん……どういうことですか……?」
今日の全スケジュールが終わったら、最終便で帰れるはずだった。
なのにその最終便が欠航ということは、今日はもう帰れないということで。
私は湯川さんと一泊しなければならなくなったということだ。
どうして……なんでこんなことになってしまったんだろう。
「欠航って、いつ知ったんですか?」
無表情で低くそう言う私と、笑顔で私を見つめる湯川さんの温度差は、きっと驚くべきものだろう。
「会食前には聞いてたよ。だから早々にホテルを予約したんだ。きっとすぐに埋まると思ったからね」
腹が立つほど気が回る湯川さんに対して私はものすごく頭にきた。
「ホテル予約する前に、新幹線予約するのが本当だったんじゃないですか?」
簡単にホテルで一泊しようとするよりも、なんとか今日中に帰る方法を考えるのが先決だったんじゃないだろうか。
欠航が決まってすぐならば、新幹線も空席はあったはずなのに