純真~こじらせ初恋の攻略法~
大好きな人と一緒に過ごす季節は、今までに感じたことのない四季を全身で感じる事ができた。

藤瀬くんとの初めての夏は。

プールに行って日焼けに大騒ぎしたり。

夏祭りの出店で買ったものをシェアして食べて。

夜遅くまで電話で話してお母さんに怒られたりもした。

藤瀬くんとの初めての秋は。

二人でイヤフォンを片方ずづ貸し合って、好きなアーティストを教え合ったり。

学校帰りにこっそり買い食いしてお腹を満たして。

銀杏並木を二人で歩いたりした。

藤瀬くんとの初めての冬は。

二人で長いマフラーを巻きあったり。

冷たくなった手を藤瀬くんのポケットに入れさせてもらって。

クリスマス、初詣、バレンタインと、恋人たちのイベントをたどたどしいながらも楽しんだりした。

幸せに満ちた中学二年生は、あっという間に終わりを告げて、私達はいよいよ中学三年生になった。

去年の今ごろは藤瀬くんと同じクラスになりたくて夜通し祈ったりもしたが、今年は心の余裕があるからなのか、ぐっすり眠ることができた。

その結果、三年間同じクラスというわけにもいかず、私達は離れ離れになってしまった。

それでも毎日一緒に登下校し、同じ時間を共有していた私達だ。

これくらいの試練はなんてことないと言わんばかりに、ラブラブな春を過ごしていた。
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