純真~こじらせ初恋の攻略法~
「なにが悪因悪果よ。それは自分のことでしょ」

悪事は自分に返ってくる。

なにかが自分に返ってきているのなら、それは自分の行いのせいだろう。

「それがなんで俺のことになるんだよ」

「自分で考えりゃわかるでしょ」

過去の事を綺麗サッパリ忘れてしまっているならまだしも、私に嫌味を言うくらいだから自分がやったことくらい覚えているはずだろう。

「わかんねぇから聞いてんだろ」

「そんなこと簡単に人に聞かないでよ」

もはや子どもの喧嘩のようになってしまっている。

とても27歳の男女の会話とは思えない。

それでも一度付いてしまった怒りの火を、簡単に消すことなんてできなくて、私達の口喧嘩は次第にヒートアップしてしまう。

「だいたいね、デートする相手がいるくせに、人にキスしてんじゃないわよっ」

「だから違うって言ってんだろっ。だいたい誰のせいであんな電話……」

始め勢いよく反論していたくせに、そこまで言った藤瀬くんは急に口を噤んだ。

「……なによ」

「なんでもない」

「うそ。なにか言いかけたでしょ」

「いや……別に」

プイっと顔を逸らすところが、私に対して何かを言いかけたのがバレバレなのだけれど。

これ以上何かを誤魔化したり誤解したりするのは嫌だ。

「ここまでぶちまけたんだから、ちゃんと説明してよね」

言い合いついでに、ちゃんと最後まで話してもらおうじゃないか。
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