純真~こじらせ初恋の攻略法~
キスしたい……。

誰かにそう思ったのは初めてだった。

藤瀬くん以外の誰かにキスしたいと思ったのも、こんなに身体が疼いたのも初めてだ。

私はするりと腕を緩め、そっと藤瀬くんの唇に自分の唇を寄せた。

藤瀬くんの同意もなく、私は自分の舌を藤瀬くんの中に侵入させる。

さっきまで怒りに震えていたはずなのに、今では女としての欲が奮い立つなんて。

なんて簡単で淫らなのだろう。

新たな自分の発見に戸惑いながらも、藤瀬くんが欲しいという気持ちには抗うことが出来なかった。

突然藤瀬くんは席を立ち、私を引っ張ってミーティング用の拾いデスクに向かうと、そのまま荒々しく私を押し倒す。

「あっ……」

待って、と開いた唇を荒々しく塞いだ。

遠慮なく入ってきた舌と同時に、藤瀬くんは私の両膝の間に自分の身体を滑り込ませる。

この前のキスとは違う、この先を思い起こさせる行動に、私は藤瀬くんの背中にしがみついた。
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