純真~こじらせ初恋の攻略法~
三年生の夏頃になると、それぞれが進路を考えるようになってくる。

そうは言っても実際のところ、中学生で将来のことを見越して高校を選ぶなんて、そんな大きな決断ができるわけがない。

将来の夢もあやふやな私は、自分の学力に見合う学校を調べ始めた。

夏休みになると藤瀬くんと二人で夏期講習に通い始めた。

藤瀬くんの成績は、私よりも優秀だったことを初めて知った。

同じ高校を目指すのであれば、もう少し努力をしなければならない。

それに気付いた私は、秋から受験勉強に夢中になった。

「藤瀬くんはもう志望校決めた?」

同じ塾に通っていた私達は、帰りによく近所の公園で話をしていた。

周りが受験一色になるにつれて、自分自身もその波に乗らなければと焦り始め、なかなかデートもできなくなる。

そんな私達が見つけたささやかなプチデート。

それがこの塾帰りの公園デートというわけだ。

「なんとなく絞れては来たけど、具体的にはまだ決めかねてる」

コンビニで買った温かいミルクティーを私に手渡してくれながら、藤瀬くんは小さく溜め息をついた。

「将来自分がどんな仕事に就くのかなんて、全然想像つかねぇもん。普通科なのか工業系なのか……。中学生の俺達に決めろってのが無理だよな」

私の隣にどかっと腰を下ろして、藤瀬くんはカフェオレをグイっと飲んだ。
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