純真~こじらせ初恋の攻略法~
考えたら私……。

藤瀬くんがどこを受験したのか知らない……。

工業系に進むと言っていたけれど、一体どこを受けたの?

一度疑問が生じると、私の思考は留まることなく疑問を捻出していく。

それは小さな小さな疑問から始まり、最終的には。

藤瀬くんってどこに住んでるんだっけ?

いつも一緒にいたけれど、彼の家に行ったことなんて一度もない。

そうだ……私……藤瀬くんのこと……なにも知らないんだ……。

そう痛感してしまったら、今まで藤瀬くんとともに重ねてきた時間が一気に軋みだした。

「大丈夫……。きっとなんてことない。これから知っていける。進路のことだって、隠してるんじゃなくて言うタイミングがなかっただけだよ……」

初めて好きになった人で、良いところだけしか見てこなかった私は、藤瀬くんのことで不安になるなんて一度もなかったから。

不安がこんなに怖いなんて知っているはずもない。

もちろんその解決方法も……。

一度不安に襲われたら、私の心なんてどんどん黒く染まっていく。

最近藤瀬くんの方から連絡してくれる頻度が少なくなってきたのにも、大きな原因があるのかもしれない。

こんなに大好きなのに。

あんなに楽しかったのに。

今の私は自分では止められないほどのスピードで、藤瀬くんのいろんなことを疑いだしてしまった。
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