純真~こじらせ初恋の攻略法~
私立に無事合格したというのに、私の心は全然晴れることがなかった。
藤瀬くんは何かとても忙しそうで、私からの電話にも出れないということが何度かあった。
胸に小さな疑いが寄せ集まり、やがて大きくなって、鉛のようになってしまった。
その爆弾を爆発させてしまったのは、公立受験を終えて、あとは卒業式を迎えるだけになったある日だった。
「茉莉香っ!」
ほとんど行くことのなくなった学校の登校日。
私を青い顔して呼び止めたのは、仲良しグループのメンバー4人だった。
「ちょっと来いっ」
返事をする暇を与えず私の腕を引っ張ってズンズン歩いていくのは田原永久(タハラトワ)だ。
「ちょっと……。なに!?」
私の後ろで急かすように背中を押していた小沢悠太(オザワユウタ)に問いかけると、彼もまた険しい顔で私と視線を合わせるだけだった。
「ちょっと待って!」
高い声が廊下に響かせて駆け寄ってきたのは高山亜弓(タカヤマアユミ)と野中奈緒(ノナカナオ)だ。
「私たちも一緒に行くよ」
亜弓は私の腕を引っ張っていた田原くんの手を外し、変わりに私の手をキュッと握ってくれた。
「茉莉香が怯えてるじゃん。急かさないで」
奈緒も私の背中を押していた高山くんの手を払い、私の肩に優しく手を回してくれる。
「ごめん……」
「悪かったよ……」
男子二人が力なく私に頭を下げるものだから、私も何だか脱力してしまって苦笑いで「いいから……」と告げた。
藤瀬くんは何かとても忙しそうで、私からの電話にも出れないということが何度かあった。
胸に小さな疑いが寄せ集まり、やがて大きくなって、鉛のようになってしまった。
その爆弾を爆発させてしまったのは、公立受験を終えて、あとは卒業式を迎えるだけになったある日だった。
「茉莉香っ!」
ほとんど行くことのなくなった学校の登校日。
私を青い顔して呼び止めたのは、仲良しグループのメンバー4人だった。
「ちょっと来いっ」
返事をする暇を与えず私の腕を引っ張ってズンズン歩いていくのは田原永久(タハラトワ)だ。
「ちょっと……。なに!?」
私の後ろで急かすように背中を押していた小沢悠太(オザワユウタ)に問いかけると、彼もまた険しい顔で私と視線を合わせるだけだった。
「ちょっと待って!」
高い声が廊下に響かせて駆け寄ってきたのは高山亜弓(タカヤマアユミ)と野中奈緒(ノナカナオ)だ。
「私たちも一緒に行くよ」
亜弓は私の腕を引っ張っていた田原くんの手を外し、変わりに私の手をキュッと握ってくれた。
「茉莉香が怯えてるじゃん。急かさないで」
奈緒も私の背中を押していた高山くんの手を払い、私の肩に優しく手を回してくれる。
「ごめん……」
「悪かったよ……」
男子二人が力なく私に頭を下げるものだから、私も何だか脱力してしまって苦笑いで「いいから……」と告げた。