純真~こじらせ初恋の攻略法~
すぐにメールでの返信が来て、二日後の面接が決まった。

当日は朝早く起きてカッチリトした紺のパンツスーツに身を包み、少し早めに家を出て駅へと向かった。

今までの会社とは反対路線の三駅目で下車し、歩くこと10分ほどで打ちっ放しのコンクリートにガラス張りというインパクトのあるオフィスが見えた。

周りには綺麗に手入れのされた緑で飾られていて、見るからに外観から心躍らされるオフィスになっている。

自分を最大限にアピールして、絶対に採用されるように頑張らなくては。

私は勢いよく扉を開き、大きな声で挨拶をした。

面接は至極和やかに進み、十分な手ごたえを感じてオフィスを後にする事ができた。

面接結果は一週間後にと言われていたが、翌日の午前中には合否を知らせるメールが届いた。

予想していた通り、結果は勿論採用だ。

「よっしゃ」

部屋の中で大きくガッツポーズを決め、自分の幸運を感謝する。

まだあの輪の中に入ったわけじゃないし、社員は半数しか在社していなかったようだが、面接のときに感じた社内の雰囲気はとてもよかった。

仕事を分担して機械のように研修をこなすのではなくて、最初から最後まで自分の顧客は自分で担当できる。

当然と言えば当然のことなのかもしれないが、今までそんなことさえもできなかった私としては大きな感動だった。

私の初出勤は週明け月曜日となる。

私の心が穏やかでいられるのは日曜日までだということも知らず、私は心の底から再就職を喜んでいたのだ……。

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