純真~こじらせ初恋の攻略法~
「おはようございます」
明るい声が響いて振り向くと、私と同じくらいの年齢の可愛らしい笑顔の女性がこちらに向かってきた。
「おはようございます」
席を立って緊張気味に挨拶を返すと、彼女は斜め前のデスクに荷物を置き、にっこりと微笑み返してくれた。
「徳久美海(トクヒサミウミ)です。今日からよろしくね」
「橘茉莉香です。こちらこそよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げると、徳久さんは短く声を上げて笑った。
「井手口部長情報では、私とひとつしか変わらないらしいわよ。私自身、堅苦しいのは苦手なの。敬語なく仲良くしましょ?」
ショートボブの髪をかきあげて、徳久さんは私にむかってそう言ってくれる。
その言葉が緊張を解してくれ、私はやっと本当の笑顔を見せることができた。
「私のことは美海って呼んで?ここではみんなそう呼ぶから」
「でも……いきなりそんな……」
今日あったばかりで、しかも会社の人に向かって、いきなり馴れ馴れしすぎやしないか?
いくら図太い私でも、かなりハードルが高い。
「私、見た目同様体育会系なのよ。昔からそう呼ばれてたから、苗字で呼ばれるのに馴染みがないの」
確かに美人を鼻にかけないサッパリとした人に見える。
それに私にとっても新しい会社で親しくしてくれる人がいると、とても心強い。
自分を偽らず、無理してキャラを作らず。
私もここでは素直になろう。
そう決めた私は、「わかりました。よろしくお願いします、美海さん」と名前を呼んでみた。
「敬語もいらないからね」
再度の念押しに、思わず吹き出してしまった。
「それはおいおい外していきます」
私の返答に美海さんは納得してくれて、絶対だからね?と笑ってくれた。
まだ井手口部長と美海さんだけにしか会っていないのに、早くも転職してよかったと思えた。
明るい声が響いて振り向くと、私と同じくらいの年齢の可愛らしい笑顔の女性がこちらに向かってきた。
「おはようございます」
席を立って緊張気味に挨拶を返すと、彼女は斜め前のデスクに荷物を置き、にっこりと微笑み返してくれた。
「徳久美海(トクヒサミウミ)です。今日からよろしくね」
「橘茉莉香です。こちらこそよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げると、徳久さんは短く声を上げて笑った。
「井手口部長情報では、私とひとつしか変わらないらしいわよ。私自身、堅苦しいのは苦手なの。敬語なく仲良くしましょ?」
ショートボブの髪をかきあげて、徳久さんは私にむかってそう言ってくれる。
その言葉が緊張を解してくれ、私はやっと本当の笑顔を見せることができた。
「私のことは美海って呼んで?ここではみんなそう呼ぶから」
「でも……いきなりそんな……」
今日あったばかりで、しかも会社の人に向かって、いきなり馴れ馴れしすぎやしないか?
いくら図太い私でも、かなりハードルが高い。
「私、見た目同様体育会系なのよ。昔からそう呼ばれてたから、苗字で呼ばれるのに馴染みがないの」
確かに美人を鼻にかけないサッパリとした人に見える。
それに私にとっても新しい会社で親しくしてくれる人がいると、とても心強い。
自分を偽らず、無理してキャラを作らず。
私もここでは素直になろう。
そう決めた私は、「わかりました。よろしくお願いします、美海さん」と名前を呼んでみた。
「敬語もいらないからね」
再度の念押しに、思わず吹き出してしまった。
「それはおいおい外していきます」
私の返答に美海さんは納得してくれて、絶対だからね?と笑ってくれた。
まだ井手口部長と美海さんだけにしか会っていないのに、早くも転職してよかったと思えた。