純真~こじらせ初恋の攻略法~
「そんな橘にはまず……」
井手口部長は私に手渡したファイルを指差した。
「ウチのエースのアシスタントから始めてもらおうと思う」
「アシスタント……ですか?」
もちろん私とて入社早々、即戦力として働けるとは思ってなどいない。
仕事的にやることは同じだろうが、進め方やテイストは会社独自のものと理解しているからだ。
だからこそ、いきなりエースのアシスタントというポストに着くとは思わなかった。
初めはもっと内部構造を把握するためにも、オペレーターや事務仕事などからだと予想していたのに。
「初めからエースのアシスタントなんて、私に務まるんでしょうか」
腕に自信が無いわけじゃない。
今までに作り上げてきた数は、それこそ機械のように感情を無くさなければならなくなるほどに多いのだから。
ただ、社風も何もわからないままアシに着くことに戸惑いがあるのだ。
「彼が手掛けたものは、そのファイルに細かくまとめてある。今付いているアシスタントが退職するんだ。その後任を任せられる人材を探すと同時に、戦力強化も図りたいと思っていた。その矢先にキミが現れてくれたというわけだ」
確かに私の資格だけ見れば、使える人間だと判断されるかもしれない。
しかし中身のある仕事をしてきたかどうか。
それを考えると多少の不安もある。
最初からわかっていたことなのだけれど。
「ウチのエースは何かと面倒くさいやつでね。自分のサブに付く人間には特にうるさいんだが……。橘のことはすんなり了承したんだ。経歴が気に入ったのかもな。腕は確かなやつだから、橘にとっても損にはならないぞ。キミなら大丈夫だ」
確信めいたような言葉でそう言われ、私は大きな期待を感じた。
井手口部長は私に手渡したファイルを指差した。
「ウチのエースのアシスタントから始めてもらおうと思う」
「アシスタント……ですか?」
もちろん私とて入社早々、即戦力として働けるとは思ってなどいない。
仕事的にやることは同じだろうが、進め方やテイストは会社独自のものと理解しているからだ。
だからこそ、いきなりエースのアシスタントというポストに着くとは思わなかった。
初めはもっと内部構造を把握するためにも、オペレーターや事務仕事などからだと予想していたのに。
「初めからエースのアシスタントなんて、私に務まるんでしょうか」
腕に自信が無いわけじゃない。
今までに作り上げてきた数は、それこそ機械のように感情を無くさなければならなくなるほどに多いのだから。
ただ、社風も何もわからないままアシに着くことに戸惑いがあるのだ。
「彼が手掛けたものは、そのファイルに細かくまとめてある。今付いているアシスタントが退職するんだ。その後任を任せられる人材を探すと同時に、戦力強化も図りたいと思っていた。その矢先にキミが現れてくれたというわけだ」
確かに私の資格だけ見れば、使える人間だと判断されるかもしれない。
しかし中身のある仕事をしてきたかどうか。
それを考えると多少の不安もある。
最初からわかっていたことなのだけれど。
「ウチのエースは何かと面倒くさいやつでね。自分のサブに付く人間には特にうるさいんだが……。橘のことはすんなり了承したんだ。経歴が気に入ったのかもな。腕は確かなやつだから、橘にとっても損にはならないぞ。キミなら大丈夫だ」
確信めいたような言葉でそう言われ、私は大きな期待を感じた。