純真~こじらせ初恋の攻略法~
好奇の視線ほど怖いものはない。

敵意や好意的であれば対処のしようもあるけれど、好奇は対処のしようがないからだ。

「まあ、全く無関係ってわけじゃないですけど」

藤瀬くんならキッパリと否定してくれるものだと思っていたのに、予想だにしない答えにカッと頬が染まってしまう。

「やっぱりっ。ほんっと藤瀬は手が早いって」

「そんな捉え方するのは湯川さんくらいですよ。橘さんは俺のアシスタントですし、同い年なんですよ」

「だからなんだよ。それくらいの共通点、どこにでも転がってるだろ」

湯川さんはふっと鼻で笑って、私の腕をつかんでいる藤瀬くんの腕を離そうとした。

「しかも同じ中学だったんですよ」

湯川さんに構わず続けると、「え、それは凄いな」と素直に驚いてくれる。

きっと湯川さんは、もとは単純な人なのかもしれない。

「もしかして、その中学の頃、2人は付き合ってたとか?」

私と藤瀬くんの後ろから突然声が聞こえて振り向くと、そこには赤澤さんが立っていた。

「そういうドラマチックな話なら、無関係じゃないっていうのも頷けますけど」

不機嫌そうに私と藤瀬くんの言葉を待つ赤澤さんの顔には、ハッキリと藤瀬くんが好きだと書いてある。

誤魔化したり隠したりしない、真っ直ぐな気持ちが伝わって、私の胸はきゅっと締め付けられる気がした。

「そんなわけないだろ」

吐き捨てるように答えた藤瀬くんの言葉に、私は想像の何十倍もショックを受け、その何十倍も怒りが込み上げてくるのを感じた。
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