純真～こじらせ初恋の攻略法～
今の私たちの関係は、ただの職場の同僚で、私は彼のアシスタント。

こんなふうに否定されても、特に腹を立てる関係性でもない。

過去の話を二人でしたわけでもないし、どんな形だったとしても終わったことに違いないのだから。

そんなことは十分に理解しているし、今後も私たちふたりの関係が変わることはない。

それはちゃんとわかってはいるのだけれど。

「くっそむかつく……」

「は……？」

私の心のつぶやきは、隣で驚きに目を丸くしている藤瀬くん以外には聞こえない声となって漏れてしまったようだ。

「中学の同級生といっても、みんながみんな仲が良かったわけじゃないですものね。藤瀬さんのことだって、全然気付きませんでしたし。教えてもらうまで思い出しもしませんでしたよ。その程度の関係です」

言わなくてもいいことなのに。

こんなにむきになって負けじと否定しなくたって、誰もそこまでの興味もないはずなのに。

藤瀬くん一人に否定されるのは我慢ならなかった。

「そうなんですね。じゃあ何の問題もないわけだ」

赤澤さんはそう言うとニヤリと笑った。

「良かったですね、湯川さん。これで藤瀬さんの妨害はなさそうですよ？」

「そうか、そうだな。結局二人は無関係なわけだしな」

まるで協定でも結んだかのように、二人は不敵に微笑みあった。

無関係を強調するのはいいけれど、面倒くさいほど攻めて来るのだけは勘弁して欲しい。

私は心底面倒くさげに溜め息をついた。
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