純真~こじらせ初恋の攻略法~
店を出て一旦お開きとなり、二次会参加者を募っているなか、私は一人でそろりと後退りする。
自分でも飲みすぎなのが自覚できたからだ。
真鍋さんには店を出る前に最後の挨拶は済ませてあったし、美海さんにもこっそりと二次会不参加は伝えている。
藤瀬くんとのやり取りを遠目で見ていた二人だっただけに、事の真相を聞きたそうではあったが、そこはぐっと堪えていてくれた。
二次会参加者と騒いでいる湯川さんにでも捕まってしまったらたまらない。
そのままフェードアウトしようとしていた時、私は肩を掴まれてしまった。
しまった、とバツが悪そうに隣を見ると、手の主はなんと藤瀬くんだった。
「帰るんだろ?」
何事もなかったかのように聞いてくるものだから、「帰りますけど」と無愛想に答える。
すると藤瀬くんは、まるで昔のようにニッコリと優しく微笑むと。
「じゃ、俺たち帰りますんで!」
と、あろうことか皆に向かって声高々と宣言してしまった。
「ちょっとっ」
なにも『俺たち』なんて大声で言うことないじゃないか。
そもそも二人で帰らないしっ。
案の定、どうして二人で帰るのかと外野が騒ぎ立ててくる。
一人で走って逃げようかと試みたものの、藤瀬くんは私を逃がしてはくれなかった。
「いろいろあるんですよ。今も昔も。お疲れ様でしたぁ」
藤瀬くんはひらひらと手を振り、皆を交わして私を引連れ颯爽とその場を後にした。
私はもうパニックになりながら、もつれそうになる足で何とか彼について行った。
自分でも飲みすぎなのが自覚できたからだ。
真鍋さんには店を出る前に最後の挨拶は済ませてあったし、美海さんにもこっそりと二次会不参加は伝えている。
藤瀬くんとのやり取りを遠目で見ていた二人だっただけに、事の真相を聞きたそうではあったが、そこはぐっと堪えていてくれた。
二次会参加者と騒いでいる湯川さんにでも捕まってしまったらたまらない。
そのままフェードアウトしようとしていた時、私は肩を掴まれてしまった。
しまった、とバツが悪そうに隣を見ると、手の主はなんと藤瀬くんだった。
「帰るんだろ?」
何事もなかったかのように聞いてくるものだから、「帰りますけど」と無愛想に答える。
すると藤瀬くんは、まるで昔のようにニッコリと優しく微笑むと。
「じゃ、俺たち帰りますんで!」
と、あろうことか皆に向かって声高々と宣言してしまった。
「ちょっとっ」
なにも『俺たち』なんて大声で言うことないじゃないか。
そもそも二人で帰らないしっ。
案の定、どうして二人で帰るのかと外野が騒ぎ立ててくる。
一人で走って逃げようかと試みたものの、藤瀬くんは私を逃がしてはくれなかった。
「いろいろあるんですよ。今も昔も。お疲れ様でしたぁ」
藤瀬くんはひらひらと手を振り、皆を交わして私を引連れ颯爽とその場を後にした。
私はもうパニックになりながら、もつれそうになる足で何とか彼について行った。