純真~こじらせ初恋の攻略法~
微妙な空気になった中、私達はこれから向かうクライアントの情報を共有した。
クライアントは谷脇雅臣(タニワキマサオミ)様。
大手取引先の御曹司で、今回のご依頼は自宅のリビングと寝室全般を任せたいということだった。
自社ビルを手掛けた藤瀬くんのセンスを気に入って下さり、何が何でも藤瀬くんにという熱烈オファーだったらしい。
かなりの仕事量を抱える藤瀬くんに、これ以上の負担をかけたくないと井手口部長が自分か湯川さんがやると言ったらしいのだけれど、藤瀬くんは連日他作業を前倒して進め、この依頼を受けることになったらしい。
「どうしても俺じゃなきゃダメだって言ってくれているクライアントに対して、他の仕事でいっぱいだから無理です、なんて言いたくないからな」
店を出てまた並んで歩きながら、藤瀬くんはそう言って笑った。
「求められるなら全力で応えたい」
「そうですね」
自分のことよりも相手のことを考えて行動する。
藤瀬くんは昔からそうだった。
彼の根本が変わっていないことに安心すると同時に、これから全力な彼を全力で支える立場になった自分を奮い立たせた。
「あと、これは要注意事項なんだけど」
藤瀬くんはピタリと足を止めて、真剣に私を見つめた。
「谷脇専務、めちゃくちゃ女性社員からの評判悪いから気をつけて」
「それってどういう意味でですか?」
「女癖……最高に悪いらしいんだ」
「……ああ……なるほど」
どこにでもいるよね、ボンクラジュニアって……。
クライアントは谷脇雅臣(タニワキマサオミ)様。
大手取引先の御曹司で、今回のご依頼は自宅のリビングと寝室全般を任せたいということだった。
自社ビルを手掛けた藤瀬くんのセンスを気に入って下さり、何が何でも藤瀬くんにという熱烈オファーだったらしい。
かなりの仕事量を抱える藤瀬くんに、これ以上の負担をかけたくないと井手口部長が自分か湯川さんがやると言ったらしいのだけれど、藤瀬くんは連日他作業を前倒して進め、この依頼を受けることになったらしい。
「どうしても俺じゃなきゃダメだって言ってくれているクライアントに対して、他の仕事でいっぱいだから無理です、なんて言いたくないからな」
店を出てまた並んで歩きながら、藤瀬くんはそう言って笑った。
「求められるなら全力で応えたい」
「そうですね」
自分のことよりも相手のことを考えて行動する。
藤瀬くんは昔からそうだった。
彼の根本が変わっていないことに安心すると同時に、これから全力な彼を全力で支える立場になった自分を奮い立たせた。
「あと、これは要注意事項なんだけど」
藤瀬くんはピタリと足を止めて、真剣に私を見つめた。
「谷脇専務、めちゃくちゃ女性社員からの評判悪いから気をつけて」
「それってどういう意味でですか?」
「女癖……最高に悪いらしいんだ」
「……ああ……なるほど」
どこにでもいるよね、ボンクラジュニアって……。