純真~こじらせ初恋の攻略法~
そんなことを言われて二日後、早速谷脇さんからお呼び出しがかかってしまった。

ランチでも取りながら話がしたいと言われたが、さすがに藤瀬くんのスケジュールが合わず、丁重にお断りをしたのだけれど。

だったら夕方でも夜でも構わないと食い下がってくるので、結局今日も昼食休憩返上で、17時に約束することになった。

タイトなスケジュールをこなす藤瀬くんのフォローといっても、私ができることはまだ事務的なものが殆ど。

大した役には立っていないと思うのだが、それでも仕事のスピードや仕上がりが半端なく早い。

「谷脇さんの最終的なレイアウトも用意しといて。打ち合わせは何としてでも今日で終わらせるからな」

パソコンから一瞬たりとも目を逸らさず、藤瀬くんは私にそう指示をする。

本当ならば私一人でもやれた部分は多くあったのに、全て巻き込んでしまったことが申し訳ない。

「分かりました。資料は全部用意しておきます」

「頼んだ」

「はい」

昼過ぎに社内で一件別の打ち合わせをこなし淡々と作業を続けていると、時間はあっという間に過ぎる。

「藤瀬さん、そろそろ時間です」

声をかけるのにも戸惑うほどに集中していた藤瀬くんに、作業中断させてしまうのは気が引けたが仕方がない。

「わかった」

短くそう言うと藤瀬くんは手早く用意をし、二人で会社を出た。

疲れているのか、はたまた機嫌がよろしくないのか。

道中はほとんど会話なく谷脇邸に到着してしまった。

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