純真~こじらせ初恋の攻略法~
「……踏み込んでいいかわからないけど」
社への帰り道、藤瀬くんは渋い表情でそう切り出した。
「なんの話だったんだ?」
プライベートだと言われたものだから、聞いていいものなのか考えてくれたのだろう。
「俺に聞く権利がないのも確かだし、本当にプライベートな話なら申し訳ないけど……気になるんだよ」
藤瀬くんの気になる理由がなんなのか。
私はそっちの方が気になってしまった。
「デートのお誘いでした」
「はあっ!?」
「静かにっ」
道端であまりにも大声で反応するものだから、私は慌てて藤瀬くんを諭す。
「いやいや、そんなのダメだろ。もちろん断ったんだよな?そんなのする必要ないからな?」
足を止めグイッと私の肩を掴んで視線を合わせようとする藤瀬くんに、私は思いっきり鼓動を乱された。
「わかってんのか?デートとか冗談じゃねぇから」
いつもの『藤瀬さん』ではなく、完全に『藤瀬くん』になってしまっていることに、本人は気付いているのだろうか。
昔では想像もできなかった、大人の藤瀬くんの口調に、私は変にドキドキしてしまうなんて。
どうかしてる。
「大丈夫ですよ。心配しないでください」
断ったから心配しないで、とハッキリ口にできなかったのは、本当に上手く断れたかの自信がなかったから。
強引で強気で立場とお金を見せつけてくる谷脇さんの話術に、対等に会話をしキッパリとお断りをする。
私はそれができたとは思えないのだ。
「何もないならいいけどな」
安心した藤瀬くんとは相反して、私の胸の中は黒い不安という雲が広がった。
社への帰り道、藤瀬くんは渋い表情でそう切り出した。
「なんの話だったんだ?」
プライベートだと言われたものだから、聞いていいものなのか考えてくれたのだろう。
「俺に聞く権利がないのも確かだし、本当にプライベートな話なら申し訳ないけど……気になるんだよ」
藤瀬くんの気になる理由がなんなのか。
私はそっちの方が気になってしまった。
「デートのお誘いでした」
「はあっ!?」
「静かにっ」
道端であまりにも大声で反応するものだから、私は慌てて藤瀬くんを諭す。
「いやいや、そんなのダメだろ。もちろん断ったんだよな?そんなのする必要ないからな?」
足を止めグイッと私の肩を掴んで視線を合わせようとする藤瀬くんに、私は思いっきり鼓動を乱された。
「わかってんのか?デートとか冗談じゃねぇから」
いつもの『藤瀬さん』ではなく、完全に『藤瀬くん』になってしまっていることに、本人は気付いているのだろうか。
昔では想像もできなかった、大人の藤瀬くんの口調に、私は変にドキドキしてしまうなんて。
どうかしてる。
「大丈夫ですよ。心配しないでください」
断ったから心配しないで、とハッキリ口にできなかったのは、本当に上手く断れたかの自信がなかったから。
強引で強気で立場とお金を見せつけてくる谷脇さんの話術に、対等に会話をしキッパリとお断りをする。
私はそれができたとは思えないのだ。
「何もないならいいけどな」
安心した藤瀬くんとは相反して、私の胸の中は黒い不安という雲が広がった。