純真～こじらせ初恋の攻略法～
あれから数日。




週末を挟んでも藤瀬くんとのぎこちなさが拭えずにいた。




藤瀬くんは普通に話してくれるのだけれど、どうしても私がビクついてしまう。




これではダメなのにと頭を抱えてふさぎ込みそうになったとき、美海さんが「飲みに行こう」と私に声を掛けてくれた。




１９時には二人で退社し、最寄り駅から少し入ったところにある洋風居酒屋に入った。




店内は暖色系の照明を基調としていて、木目調の店内とマッチしている。




温かみがあって落ち着く空間の中にいると、粗ぶっていた心が次第に和らいできた。




「とりあえず……乾杯」




「乾杯」




掲げたビールジョッキがゴツンと鈍い音を立ててぶつかり合う。




ほろ苦いビールで喉を鳴らすと、炭酸の刺激が全身に染み渡った。




「茉莉香ちゃん、今日は遠慮なしだからね。思いっきり飲んで発散しちゃおう」




乾杯で半分以上ジョッキを空けた美海さんが、可愛らしい笑顔でそう言ってくれる。




「ありがとうございます」




美海さんの明るさと優しさに、自分の表情が解れていくのを感じた。




「藤瀬くんと上手くいってないんでしょ？見てればわかる。二人に何があったかは知らないけど、仕事に支障が出出てきちゃう前に修復しないとさ。私も力になるし、必要なら仲裁にも入るからさっ」




その言葉にまるでお姉さんのような安心感を感じて、美海さんには全てを打ち明けようと思えた。

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