純真~こじらせ初恋の攻略法~
藤瀬くんに恋をした幼い私は、藤瀬くんに避けられ裏切られ、最終的に耐えられなくなってしまって自ら逃げた。
これが私にとっての真実で、私も含め誰も疑問にすら感じてこなかった。
なのに今ここでこんな疑問を投げかけられることになろうとは。
「当時の藤瀬くんのことなんて私は知らないけど、今の藤瀬くんからは想像もできないんだよね」
美海さんは焼き鳥のつくねを頬張り、「うまっ」と短く呟いた。
私に食べろと言わんばかりに串をお皿に乗せて、美海さんは通りがかった店員さんにビールのお代わりを注文した。
「藤瀬くんって顔はいいじゃない?しかもセンスもいいし仕事も早い。社内にもクライアントにも藤瀬くんファンって意外に多いのよ」
そういえば最近は徐々に打ち解けてきたとはいえ、みちるちゃんも藤瀬くんのことが好きなんだった。
「藤瀬くんが湯川さんみたいだったら遊び放題なんだけどさ。藤瀬くんってそういうのに全く興味を持たないのよね。どんなに誘われても全然靡かないの」
対象相手が湯川さんというところで、既に藤瀬くんの勝ちのような気がしなくもないが。
「相手に気を持たせることなく、相手の気持ちを真摯に受け止めたうえで、きっちり丁寧にお断りするの。だからみちるちゃんも茉莉香ちゃんを女として快く思ってないなりに、なんとか気持ちの折り合いをつけて職場の同僚として役目を果たしてくれてるんだよ」
「そうだったんですね」
たしかにみちるちゃんと私の仲はいいとは言えない。
冷たくあしらわれたりもするし、いちいち突っかかってくるような言い方もする。
それでも仕事は完璧にこなしてくれるし、先を見越してフォローもしていてくれる。
自分の気持ちにちゃんと向き合ってくれた藤瀬くんの仕事だから、手を抜くことなく切り替えてしっかりやってくれているのだろう。
そんなみちるちゃんの真っ直ぐな気持ちが、今の私には羨ましく思えた。
これが私にとっての真実で、私も含め誰も疑問にすら感じてこなかった。
なのに今ここでこんな疑問を投げかけられることになろうとは。
「当時の藤瀬くんのことなんて私は知らないけど、今の藤瀬くんからは想像もできないんだよね」
美海さんは焼き鳥のつくねを頬張り、「うまっ」と短く呟いた。
私に食べろと言わんばかりに串をお皿に乗せて、美海さんは通りがかった店員さんにビールのお代わりを注文した。
「藤瀬くんって顔はいいじゃない?しかもセンスもいいし仕事も早い。社内にもクライアントにも藤瀬くんファンって意外に多いのよ」
そういえば最近は徐々に打ち解けてきたとはいえ、みちるちゃんも藤瀬くんのことが好きなんだった。
「藤瀬くんが湯川さんみたいだったら遊び放題なんだけどさ。藤瀬くんってそういうのに全く興味を持たないのよね。どんなに誘われても全然靡かないの」
対象相手が湯川さんというところで、既に藤瀬くんの勝ちのような気がしなくもないが。
「相手に気を持たせることなく、相手の気持ちを真摯に受け止めたうえで、きっちり丁寧にお断りするの。だからみちるちゃんも茉莉香ちゃんを女として快く思ってないなりに、なんとか気持ちの折り合いをつけて職場の同僚として役目を果たしてくれてるんだよ」
「そうだったんですね」
たしかにみちるちゃんと私の仲はいいとは言えない。
冷たくあしらわれたりもするし、いちいち突っかかってくるような言い方もする。
それでも仕事は完璧にこなしてくれるし、先を見越してフォローもしていてくれる。
自分の気持ちにちゃんと向き合ってくれた藤瀬くんの仕事だから、手を抜くことなく切り替えてしっかりやってくれているのだろう。
そんなみちるちゃんの真っ直ぐな気持ちが、今の私には羨ましく思えた。