絶対領域
ポーン、と音を立てて扉が開いた。
8階に着いたんだ。
エレベーターを降りて、黒髪の男の子がいるらしい802号室を目指す。
「待って」
目的地を目と鼻の先に捉えた時。
薄い赤茶色の髪の男の子が、ストップをかけた。
あとそこの角を曲がればすぐなのに、どうしたんだろう。
彼は、廊下の突き当りを曲がらずに、そこから顔を出して様子を窺っている。
私も真似してみよう。
「……あ、あの人たち……」
ひょっこり覗いてみれば、曲がった先にある802号室の扉の前で、見覚えのある2人の男の子が立っていた。
長髪の男の子と、気弱そうな男の子。
まるで、敵を寄せ付けないよう、見張りをしているみたい。
3日前の態度からして、このまま行っても、門前払いされるのがオチ。
どうしよう。
せっかく思い立ってここまで来たのに、無駄足になっちゃうのかな。