絶対領域
ふたりぼっちの枷鎖
突然上げられた、シャッター。
雨天の外も灰色に包まれていて、さして倉庫内は明るくはならない。
私たちの視線は、ここにやって来た来訪者に注がれていた。
ちょうど話に登場していたゆーちゃんと、しん兄だ。
……あ、そうだ。
私たち、幽閉されて、助けを待っていたんだった。
ゆかりんの話に夢中で、ど忘れしてた。いけない、いけない。
「迷惑なんかじゃ、なーい!!」
うるさい雨にも負けないくらいの大声が、倉庫中に反響する。
ゆーちゃん、2回言ったね。
たぶん、重要なことだったんだろうね、うん。
ゆーちゃんはドスドスとこちらに迫り、ゆかりんの前でしゃがみこんだ。
「僕、ユカに迷惑をかけられたことないもんっ!」
これで3回目。
何回言う気だろう。
形相はかなりキレてるのに、拗ねた言い方をしているのが、ちょっと可愛い。
そんなゆーちゃんのやや後ろで、しん兄は半分呆れながら、人差し指でメガネをクイッと押し上げた。
「僕が、いつ、ユカに、迷惑をかけられたっていうのぉ!?」
「で、でも、僕が弱いせいでユウは自分を責めて、ぼ、僕を守って……」
「僕は一度だって、迷惑だと思ったことはないよ!!」
ゆかりんの反論をぶった切って、ゆーちゃんはまた叫んだ。