絶対領域
次の目的地、ホストクラブへいざ出発!
文化祭らしく賑やかな校舎を、このメンバーかつこの衣装で回れば、言わずもがな注目されてしまう。
しょうがないことだし、今更文句はないけれど。
……さ、さすがに、ジロジロ見すぎじゃない?なんで?
皆がイケメンだから?
私のコスプレが似合ってないから?
どっちも、っていうのも考えられる。
今だけ透明人間になりたい。
「ねぇねぇ、あの集団、やばくない?」
「うわっ、イケメン!皆、イケメン!」
「きゃーっ、先輩たちだ!」
「……ん?あれって、双雷と神亀じゃね?」
「え、あれ全員不良!?」
「矢浦さん……かわゆい……」
黄色い歓声や騒音が一緒くたに混ざり合って、何を言ってるか聞き取ることは不可能だ。
周囲が盛り上がってるのだけは、汲み取れる。
「双雷と神亀ってさ、仲悪いんじゃなかったっけ?」
「あー、俺もその噂聞いた」
「下っ端だけなのかな?」
「そうなんじゃない?あそこにいるの、幹部ばっかりだし」
「てか、どのアングルもイケメンとかずるーい!好きー!」
本人たちには知れずに、一人歩きする噂。
私たちが過ぎ去った後も、廊下には熱気が満ちあふれていた。