絶対領域
「あずき兄さんと慎士兄さんの教室は……」
「あそこではなかろうか」
パンフレットとにらめっこするせーちゃんに、オウサマが前方を指差して教える。
示された方向には、ながーい行列が。
並んでいるのは、9割女の子。
「……うん、あそこだろうね」
あの行列の先に、ホストクラブがある。
間違いない。
こんなに列ができてるなんて、すごい人気だなぁ。
あず兄としん兄効果?
私たちも最後尾に並ぶ。
女の子たちがチラチラコソコソ、こちらを意識しているが、私を含めて皆でスルーした。面倒ごとはごめんだ。
昨日の乱闘騒動を振り返っている間に、列の先頭まで来ていた。
「次のお客さ……げっ」
「本当に来たのか」
開かれた扉から、げんなりした顔が2つ現れる。
「あず兄、しん兄、言ったでしょ?絶対行くって」
「双雷の奴らまで来るとは、予想外だった」
「お前たち、からかう気満々だろ!?」
もちろん、と即答したゆーちゃんとバンちゃんに、2人は頭を抱えてため息を吐いた。
今更追い払ったりしないでよね?