絶対領域
「うんうん、かっこいいよ~。……チャラいけどぉ」
「本職かってくらい輝いてるよ。……チャラいけど」
「慎士兄さんはかっこいいけど、あずき兄さんは……チャラい」
ゆーちゃんとバンちゃんとせーちゃんが、同時にプッと噴き出した。
「お前らっ!!!」
「……まったく」
怒鳴るあず兄と、開き直ったしん兄。
そんな神亀のメンバーを、双雷の皆は微笑ましげに傍観していた。
「モエモエも、チャラそうって思わな~い?」
「うーん……チャラい感じはしないけど……」
なんて言われるかオロオロしているあず兄を、じっと見入る。
「傷が痛そう、かな」
顔には、いくつもの傷痕。
しん兄の片手に巻かれた包帯には、血が滲んでいる。
昨日の今日だし、簡単には治らないよね。
『紅組の奴に、頼まれたんだ……!』
2人が傷ついたのは、決して私のせいではないのに。
黒幕を知ってしまって、平常心ではいられなくなる。
苦しくて、辛くて、痛くて。
呼吸もうまくできない。
グワングワンとぐらつく頭の上に、ふわり、と優しい温もりが降った。
「心配すんな。全然痛くねぇよ」