絶対領域






せーちゃんにガミガミ注意されて、ようやく離れたあず兄の腕を、なんとなく見やる。


腕についてる腕時計に、目が留まった。



えっ、もうこんな時間!?



「私、そろそろ交代の時間だから行かなきゃ!」



遅刻してクラスメイトに迷惑かけたくないし。

のんびりしていられない。



「じゃあ童話喫茶まで送……」


「いい、いい。皆はまだホストクラブ楽しんでて」



立ち上がりかけたせーちゃんを、すぐさま座らせる。


過保護なあず兄まで何かしそうだったので、「それじゃあごきげんよう!」とダッシュで教室を去っていった。





ちょっと走っただけですぐに息が上がって、足を止めた。


おかしいな。

普段なら余裕なんだけど。



着慣れない衣装だから?



そう考えることさえ、辛くなってきた。


仕方なく廊下を歩いて、自分の教室へ向かう。



なんでだろう。

ただ歩いてるだけでも、息苦しい。



空気が喉を通る度に、痛みを感じる。


だんだん足がおぼつかなくなってきた。


先ほどの眩暈まで再発する。




頭も痛いし、どうなってるの?



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