絶対領域
私、そんな長い時間、寝てたんだ。
そりゃ、息苦しさや眩暈がなくなって、体温も下がるわけだよ。
なんなら寝すぎてダルいくらいだ。
「あーあ、せっかくの文化祭なのに、前半しか楽しめなかった……」
ショック。
もっといろんなところ回ったり、童話喫茶に貢献したりしたかった……って、あっ!!
「ど、どうしよう!クラスの仕事、サボっちゃった!」
やばいやばい。これはやばいぞ。
仕事をほったらかすなんて、最悪だ。
クラスメイトと距離が縮まってきたのに、好感度が一気に大暴落してるよきっと!
しょんぼりして大きく落とした肩を、バンちゃんがポンポンと軽く叩いた。
「それなら大丈夫」
「うぅ、大丈夫なんかじゃ……」
「クラスの子には伝えておいたから」
嘘!、と勢いよく顔を上げれば。
ほんと、とのどやかに返された。
「さっきクラスの子が心配して、お見舞いに来てくれてたよ」
も、もしかして、名前呼びし合う関係にまで発展した、衣装係のあの子かな。
そっか、ここに来てたんだ……。
さっきとは違う意味で、やばい。
ニヤけが止まらないよ。