絶対領域
いたずらな運命
――この街には、天使と悪魔が棲んでいる。
キーンコーンカーンコーン。
チャイムで、目が覚めた。
「……んん」
机に伏せていた顔を上げて、小さくあくびを漏らす。
先生が出て行った直後、教室が騒がしくなった。
「授業、終わったんだ」
夏休み明け、初日。
だからか睡魔に勝てなくて、今日の授業は全然集中できなかった。
というか、ずっと寝ていたら、あっという間に放課後になっていた。
宿題とか出たのかな。
気になって、近くのクラスメイトをチラ見してみる。
私と目が合ったクラスメイトは、皆、すぐ目を背けた。
「ねぇ、今、矢浦【ヤウラ】さんこっち見てなかった?」
「み、見てた」
「何か聞きたいことがある、とか?」
「いやいや、俺らがうるさかったんだろ」
「ちょっと聞いてみてよ」
「む、無理だって!」
……丸聞こえなんですけど。