絶対領域
……あ、悠也みっけ。
慎士もいた……けど、あれ、どう見ても告られてないか?
平和な青春っぽくていいな。
皆が知らない間に、紅組の件が片付いたら一番いいんだけど。
「そううまくいくかな……」
何しろ敵が手ごわいからな。
どうなるか、わからない。
それに……萌奈ちゃんを余計に混乱させたくなくて言わなかったが、本当に全員が何も知らないわけではない。
例えば。
昨夜、俺以外にも、黒幕を聞いていた奴がいた。
とっくに仲間には情報共有を済ませているかと推測していたのに、本人も仲間もいつも通りで。
特に何か言ったり、したりしてこなかった。
誰一人として態度に出てなかったことから鑑みるに、どうやら教えていないらしい。
あいつも、俺や萌奈ちゃんと同様の考えなのだろうか。
どうしても視界に入り込む、夕暮れの濃淡な光。
鮮やかなあの色に、あいつの高笑いを想起する。
「……凰」
凰は、どうするつもりなんだろう。
紅組が黒幕と知って、あのブラックジョークを現実にする気じゃないよな?
「あ、そういえば、ショーの時にもう一人、クレオメの意図に勘づいたような素振りを見せた奴がいたっけ……」
緋織の隣にいた、凰。
……の横に隠れるように座っていた。
双雷の――。