絶対領域
心なしか、以前よりリボンタイが似合ってきた気が……。
ビバ、JK!
こういうのを待ってたんだよ!
「友達ができたんだな。よかったな。それより、体調大丈夫か?」
……こういう、異常な生活ではなく。
あず兄のところに行くまでスキップしていたが、急ブレーキをかけた。
いい気分が台無しだ。
「やだなぁ、あず兄。私のどこを見たら、大丈夫じゃなく見えるの?視力、悪くなった?眼科行ったほうがいいじゃない?ていうかさ、なんで最初棒読みだったの?それより、って何?」
言い返す余地を与えずに、弾丸のように責める。
今回の毒舌は、故意のものです。
にっこり笑顔の私に、あず兄はたじたじになって「ご、ごめん……」としか返せなかった。
1週間も無理やり休養させられれば、嫌でも元気になるよ!
「心配してくれるのは有難いけどさ、ちょっと神経質すぎるんじゃない?」
「んなことねぇよ」
頭をポンと1回撫でられた。
あず兄の隣に並んで、廊下を進んでいく。
「……そんなこと、あるよ」
ポツリ。
吐き捨てた独白を、足音で打ち消した。
今日の昼休みにも、新人いびりの件を踏まえて、パトロールを増やすとか話し合ってたし。
休み時間の度に、あず兄が私の様子を見に来るし。
あず兄のほうこそ、休んでほしいよ。