絶対領域





「シーユー、あずき氏。さらばだ」


「待てっつってんだろ!?お前の耳は飾りか!?」



静止の声を高笑いでかわして、駆けだした。



あず兄も走って追ってきていたが、オウサマのほうが上手【ウワテ】だったようで。


入り組んだ道を素早く通って、あず兄を撒いてしまった。




これのどこがエスコート?


なんだかみーくんと初めて会った時を思い出すなぁ。




……もうどうにでもなれ。






活気づいた繁華街。

行き交う人々の注目の的になる。


逃げ込んだのは、なぜかファミリーレストラン。



言わずもがな、オウサマの選択だ。


安いし、落ち着くし、異論はない。




後ろの席では、ギャルたちが放課後を満喫している。


クリームソーダとコーヒーを注文したら、逆の位置に置かれた。


クリームソーダは、オウサマ。

コーヒーは私が頼んだのに。



……あれ?これって何の時間だっけ?アフタヌーンティータイム?




「強引に連れ出してすまぬ」



開口一番の発言に、ちょっとびっくり。


あ、自覚あったのね。




「いいよ、別に。エスコートされてる気は一切しなかったけどね。1回ちゃんとデートについて学んだ方がいいと思うよ」


「ほう……これが噂の天然毒舌か」


「毒舌じゃなくてアドバイス」


「ほう……本当に無自覚なのだな」




無自覚って何が?

アドバイスに自覚ありなしってあるの?



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