絶対領域
「認識したのは、スリーイヤーズ、3年前。我が中学2年だった頃のことだ。初対面は、それからツーイヤーズ、2年経ち高校に進学してからだ」
予想していたよりずっと最近の話だった。
昔から仲良さそうなイメージがあったし、認識すらしていなかったなんて信じ難い。
「だったらどうして、容易に汲み取れたの?」
溶けだしたバニラアイスを、軽くソーダに混ぜていく。
しゅわしゅわ、炭酸の泡を泳がせた。
「我と緋織氏が、いとこや仲間以上に深い関係だからだろうか」
曖昧に濁した口の中に、クリームソーダを含ませる。
どういう意味?
首を傾げる私に、オウサマはやや悩む仕草をする。
「言語化するのは少々難しいが……」
言葉とは裏腹に、続きはすぐに紡がれた。
「良き理解者であり、協力者であり……同志、といったところだ」
詳しく聞いても、よくわからない。
ただ、オウサマのしたがった『トーキング』の意図は、ようやっと理解できた。
オウサマは、きっと。
この話がしたくて、私を連れ出したんだ。
でも、なんで私なんだろう。
オリとの関係性なら、双雷の皆と話したほうがいいんじゃ……。
……まさか。
バンちゃんみたく、私の秘密を知って……?
オウサマならありえちゃいそうなところが怖い。