絶対領域
なんでここにみーくんが!?
てか、なんでそんなに怒ってるの!?
華麗に私の前に着地したみーくんは、混乱してる私を庇いながら、残りの2人が逃走してしまう前に一蹴した。
あっという間に決着がついてしまった。
いや、ほんとにあっという間。
一瞬だった。瞬殺だった。
『さっきだって、シュババッて全員倒しちまったし!グワッとやってて、隙なんか全然なかったし!!』
以前、ランちゃんが語彙力なく興奮していた真意を、今になってようやっと理解できた。
「萌奈、大丈夫!?」
「え、あ、うん。私は平気だよ」
3人が失神した後、みーくんは私の両腕を掴んで、上から下まで見回す。
どこも傷ついてないとわかると、焦燥を含んだ吐息をこぼした。
「……ごめんね」
え?
なんで、謝るの?
伏せられてしまえば、表情はちっとも窺えない。
見えるのは、みーくんのつむじだけ。
「こいつら、双雷の下っ端なんだ」
「ええっ!?」
「といっても、つい最近入団したばっかりの新人なんだけど」
それで総長としてあんなに怒って、私に謝ってくれたんだ。
でも、なぜ。
私を狙ったんだろう。
元凶である『あの女を狙え!』と指示を出していたのは、一体誰?
覚えのある声だったけど、敵3人の中にはいなかったし、聞き間違いだったのかな。
……そうだよね、私の勘違いだよね。
そうであってほしい。