絶対領域




あることないこと、噂して。


信じて、疑って、面白がって。


知らぬ間に誇張されて、尾ひれがついてる。



別にいいよ?

会話のネタとして、楽しめばいい。


だけど、噂よりも目の前に在る事実を、ちゃんと見てよ。




『双雷と神亀は仲が悪い、なんて偽情報も広まってるみたい』


「その情報も、下っ端たちは信じてるの?」


『半信半疑だとしても、喧嘩してる奴がいるってことは、そういうことだろうね』



たかが噂になんで……。


いや、下っ端たちにも責任はあるけど、一番の問題は紅組だ。



「それって、情報操作、だよね?」



下っ端たちを間接的に洗脳することなど、紅組にかかれば造作もない。


盲目状態にさせて、嘘を植え付けたら。

紅組が直接手を加えずとも、あとは勝手にやらかしてくれる。



……嫌なやり方だ。




「でも、情報源は一体……」



他人が発信した、信ぴょう性の少ない噂をそう易々と信用しないはずだろうし。


誤報を自然と鵜呑みにしてしまう場合で考えられるのは……。



脳内に浮かんだ答えに、息を呑んだ。



「まさか」


『そう……どちらか、もしくは両方に、裏切り者がいる』




< 434 / 627 >

この作品をシェア

pagetop