絶対領域
あることないこと、噂して。
信じて、疑って、面白がって。
知らぬ間に誇張されて、尾ひれがついてる。
別にいいよ?
会話のネタとして、楽しめばいい。
だけど、噂よりも目の前に在る事実を、ちゃんと見てよ。
『双雷と神亀は仲が悪い、なんて偽情報も広まってるみたい』
「その情報も、下っ端たちは信じてるの?」
『半信半疑だとしても、喧嘩してる奴がいるってことは、そういうことだろうね』
たかが噂になんで……。
いや、下っ端たちにも責任はあるけど、一番の問題は紅組だ。
「それって、情報操作、だよね?」
下っ端たちを間接的に洗脳することなど、紅組にかかれば造作もない。
盲目状態にさせて、嘘を植え付けたら。
紅組が直接手を加えずとも、あとは勝手にやらかしてくれる。
……嫌なやり方だ。
「でも、情報源は一体……」
他人が発信した、信ぴょう性の少ない噂をそう易々と信用しないはずだろうし。
誤報を自然と鵜呑みにしてしまう場合で考えられるのは……。
脳内に浮かんだ答えに、息を呑んだ。
「まさか」
『そう……どちらか、もしくは両方に、裏切り者がいる』