絶対領域
うん、わかってる。
わかってるよ。
一人じゃ無茶で、危険なこと。
それでも、私は。
『情報操作によって、下っ端たちは、お互いのグループは敵だと洗脳されてる。幹部たちも相手のグループを欺こうと仲いいフリしてるんだと、勘違いしてるくらいだ。だから俺たち幹部メンバーが、本当の関係性を示せば……』
「それじゃあダメなんだよ」
平然を装った一言で、遮る。
「相手は、紅組なんだよ?」
『……そう、か』
それだけ言えば、察しのいいバンちゃんは全て理解した。
紅組は、オリの現状も私との関わりも把握済みだろう。
私たちの秘密を逆手に取り、暴露されでもしたら、せっかく仲良しアピールをしても意味がなくなる。
だって、そうでしょう?
あず兄とせーちゃんも、私やオリと同じ。
“あの時”の囚われ人。
秘密を知っただけでは何もしないかもしれない。
だけど、紅組は幾度となく私を巻き込んだ。
その関係者でもあるオリを、責めるかもしれない。
みーくんやオウサマたちは、そんなオリを庇うだろう。
初めて知ったり、聞いたり、見たりすることに、誰しも戸惑って拒む。
大切な人の秘密なら、なおさら。