絶対領域
最も怖いのは、紅組が、神亀と双雷の関係をぐちゃぐちゃにかき乱すこと。
友達に戻れなくすること。
最悪な未来にさせないためには、どこにも属していない“天使”が、下っ端たちの誤解を解くほかない。
皆まで連れていたら、混乱するだけだ。
『また、あずきや世奈に説教されるかもな』
「……そう、だね。その覚悟で、全力を尽くすよ」
バンちゃんは、本当は反対したいくせに、こうやって賛成してくれてる。
味方に甘えてばかりだ。
画面の向こうで、バンちゃんはどんな表情をしているの?
「対立させる日程も、もう決まってるの?」
『今週末の真夜中0時に西側の1番倉庫で決闘するらしい。おそらく裏切り者がどちらのグループにも広めたんだろうな。しかも、幹部には内緒にして下っ端だけでどうにかしてやろう、ってやる気を促してる』
「なるほどね。だから事情聴取の時、『俺らに任せてください』って言ってたんだ」
私もバンちゃんも、呆れていた。
紅組の技に、感心すらしてしまう。
手柄を設定したら、より戦う気にさせられる。
下っ端たちも単純だなぁ。
「既に噂が広まってるなら、対立を防ぐのは不可能、か……」
『もう少し早く情報収集できていたら、対立そのものをなくせたんだけどね』
「こうなっちゃったら仕方ないよ」