絶対領域
事前に解決できないとなると、当日に妨害する作戦でいこうかな。
できる限り、ノーモア喧嘩をモットーに訴えてみよう。
私の発言でどこまで食い止められるか、わからないけれど。
「バンちゃん」
『ん?』
「私が単独行動すること、その理由も、皆には何も言わないでね」
『まだ打ち明けたくない?俺はもうそろそろ話してもいいと……』
「お願い」
これは私のわがまま。
皆に紅組の恐怖を背負わせたくない。
全部解決できたら、教えたい。
“あの時”の秘密も一緒に。
それまではどうか……。
『……はぁー、わかった』
一拍置いて、重たいため息付きで渋々賛同してくれた。
かと思ったら。
『でも、今週末の対立を阻止できなかったり、それ以降も紅組が動き続けたりしたら、皆にも情報を共有する。いいね?』
条件を提示された。
妥協してくれたんだね。
異論を唱えられるはずもなく、二つ返事で同意した。
『俺は裏切り者について、また調べてみるよ』
「私もいろいろ探ってみる」
『……無理するなよ』
「バンちゃんもね」
お互いに返事はしない。
きっと、無理してしまう。
そう、確信めいた予想をしているから。
皆を守れるなら、無理してでも頑張りたいんだ。
『おやすみ』
「おやすみ」
いい夢を。
優しい囁きを最後に、プツリと電話が切れた。