絶対領域
どういうこと?
せーちゃんは、何を言ってるの?
「また“あの時”みたいに、一人でどっか行っちゃったのかと思った……」
ポツリ、と。
こぼれた独白を拾っても、何一つ理解はできなかった。
一体何が起こってるの?
せーちゃんが……家族が私をこんなに心配するほどの何かが、あったの?
どうして、せーちゃんはこれほどまでに恐れているの?
どうして、私は今まで眠っていたの?
疑問がありすぎて、混乱して、頭がパンクしそう。
……あれ?
そういえば、どうして。
「せーちゃん、いつの間にこんなに大きくなったの?」
「……え?」
私の知っているせーちゃんは、小学6年生の小さな弟……だった、はず。
だけど、目の前にいるのは、中学1年生の私よりもはるかに大きな年上の男の子。
「あなた、せーちゃん、だよね?」
「姉ちゃん?なに、変な冗談を言ってるの?」
この人は、間違いなくせーちゃんだ。
そう、断言できるのに。
違和感を、消せない。