絶対領域
全て吐露し終えた時。
おずおずと周りを見渡してみれば。
絶句。
今までの会話で薄々勘づいていたものの、うまく呑み込めずに愕然としていた。
バンちゃんが“悪魔”であることや、紅組が双雷と神亀をかく乱させた理由など。
ところどころわざと抜け落とした部分があっても、誰も突っ込みはしなかった。
きっと、できないのだろう。
情報の渦に巻き込まれ、キャパオーバー寸前なのだ。
「……それで、蘭次郎が裏切り者である証拠の件だけど」
温厚そうに見えて、その実、獣のような迫力がある。
ランちゃんの警戒が強まった。
「クレオメ」
「……クレオメぇ?」
思わずゆーちゃんがオウム返しする。
「文化祭でやったマジックで、萌奈ちゃんにあげた花があっただろ?あれ、クレオメっていうんだ」
あの白とピンクの花、クレオメという名前だったんだ。
初めて知った。
それが証拠って、どういうことだろう。
「花言葉は、秘密の時間」
「秘密の、時間……!?」
それって、まさか、“あの時”を指して……?
大袈裟なくらい反応してしまった私に、あず兄とせーちゃんも察してしまった。
「蘭次郎、お前は気づいてただろ?その花言葉に込めた、本当の意味を」
「さあな」