絶対領域
どうしても脳内を巡る、最悪な予想。
“あの時”の囚われ人たちが、秘密を知って、友達じゃなくなってしまうなんて。
そうならないって、私自身が信じてあげなくちゃいけない。
「傷だらけのオリを、守りたいって、想った。この人を守るために強くなりたい、って」
オリが私の運命の人で。
誰よりも特別だった。
「だから、1年もの間、ずっと一緒に逃げてた」
あず兄とせーちゃんのほうを向きながら、打ち明けた。
歪む。
どっちの顔が、視界が、心が。
歪んでるのかわからないね。
この話をしたら、たぶん2人を困らせちゃう。
話さなくていいなら、そうしたかった。
だけどそれは、散々心配かけてきた2人に対して、不誠実だよね。
「オリは今もなお逃げ続けてる」
「そ、それって、あいつが……緋織が、姉ちゃんを……っ」
「そうじゃないよ、せーちゃん。オリはね、オリなりに私たちを守ってくれて……」
「守るって何だよ。緋織が、全ての元凶じゃねぇか!」
せーちゃんの肩が、わなわなと震えていた。
なだめようとしたしん兄の手を振り払う。
最悪な予想が現実になってしまうの?
そんなの、嫌だよ。